日本アスペン研究所は、創立10周年を記念して「次の10年への飛躍に相応しい」新たな事業として、高校生を対象とした「アスペン・ジュニア・セミナー」を2008年9月・10月・11月(各月1日)に開催しました。セミナー参加は基本的に無料で、都内の私立高校5校から高校2年生23名に参加いただきました。
若者の読書離れが進むなか、ジュニア・セミナーでは、若く多感な学生のときにこそ古典や哲学書に触れ、本を読む大切さや対話の重要性を少しでも多くの高校生に体験してもらうことを目指しています。
ジュニア・セミナーの手法は、参加対象が高校生であっても、エグゼクティブ・セミナーをはじめとするアスペン研究所が開催するセミナーと基本的に同様で、参加者に事前にテキストを十分に読んでもらい、セミナー時はテキストベースに生徒同士での対話を重ね、モデレーターならびにリソース・パースンの先生が対話の質を高めるための助言を行うものです。
使用したテキストは、人間の生きていく意味や生き方を問うものとし、『アンティゴーネー』(ソポクレース)、『かのように』(森鴎外)、『旧約聖書』の「創世記」、『エネアデス』(プロティノス)、『人間の学としての倫理学』(和辻哲郎)の6編が選択されました。
ジュニア・セミナーでは、一つのテキストにかける時間を他のセミナーよりも増やし、生徒の方々にじっくりと古典に対峙してもらいました。
セミナーに参加した生徒からは「普段はこのように何かについて掘り下げ、自分の考えを語り合うということがなくて、とても新鮮でした。同時代の人がこれだけ自分の考え、意見をしっかりもっていることにとても焦り、そして安心しました」との声も出るなど、古典のおもしろさ、読みこなすことの重要性、そして対話の必要性について大いに関心をもっていただけた3日間となりました。
日本アスペン研究所は、このジュニア・セミナーを社会貢献活動として位置づけ、2009年以降も継続的な実施を予定しています。
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